当校ワンズウィルミュージックスクールの体験レッスンに来られる方に、「歌のお悩み」についてお伺すると、次の様な答えが返ってくることが多いです。
- 「音程が悪いから直したい」
- 「高音が出るようになりたい」
- 「発声を良くしたい」
- 「リズム良く歌えるようになりたい」
- 「ビブラートが出来ない」
「音程やリズム、発声や歌唱テクニック」はやはり気になりますよね。歌上達には、当然身につけなければならないものですから、言うまでもありません。
ただ、私はそんな方々の歌を聞いていて、音程や発声に以外にも、もっと気にかけてもらいたいことがあります。それは
メロディーの1音1音に、もっと意識を集中させる
ということです。
実にもったいないと思います。
今回は「歌の細部にわたり意識を集中させる重要性」について述べてみたいと思います。
あなたは1音1音に集中できていますか?
皆さんも歌う時にはもちろん、音程やリズム、ニュアンスなど十分に気をつけていると思います。
ただ、実際には「何とはなしに流して歌ってしまっている方が非常に多い」というのが、私の見解です。
例えば
- 語尾をきちんと伸ばしきっておらず(歌いきっていない)、音程をキープできずに下がってしまう
- 音の上がるところ、下がるところをしっかり意識出来ていない
- しゃくりが上がりきっていない(音程が上がりきらない)
など、メロディーを曖昧に捉えており、1音1音への執着心が足りない歌になっているんですね。音符の1つ1つを大事に歌っていないのです。
本来であれば歌唱テクニックも高く、音感も良いはずの方でも、このような理由で歌が悪くなってしまう
ケースを、私はたくさん見てきました。
聞いている立場からすると、このような歌は何とも地に足のついていない不安定で説得力のない歌に聞こえてしまいます。
以下の記事も参考に読んでみて下さい。
歌う上での意識を変えてみる。細部にわたり意識が薄いこと気づくことが大切
また問題なのは、意識が足りていないことに本人が気づいていないということです。というより自分一人では気づきずらいといった方が良いかも知れません。何故なら、本人は十分に丁寧に歌っているつもりだからです。
しかし「歌の現状を自覚する」ことが出来なければ、いくら発声練習をしたり、歌の実践トレーニングを繰り返してもなかなか上達は望めません。
これでは困りますよね。ではどうすればいいのか?
第3者に自分の歌を客観的に聴いてもらい、助言してもらう
ことが効果的です。
意識が希薄になっていることを指摘してもらうことにより、
本人が「細部にもっと集中する」ということを意識し始めると、歌が格段に良くなって行く
ことが多々あります。
例えば、当校ワンズウィルの体験レッスンでは、歌をレコーディングして、自分の歌を何度も聴いてもらうようにしています。これは「歌の現状を認識」して頂く目的もあります。
最初は自分の問題点を理解できなくても、講師がこと細かに解説していくうちに「意識が足りていないこと、もっと1音1音を大事に歌う必要があること」に気づき始めるんですね。
すると、特に音程や語尾の安定感が向上していきます。今まで気づかなかったことに、意識を向けるだけで変化が生まれます。
良い歌は細かいことの積み重ねでできている
良いボーカリストというものは、細部にわたり丁寧にしっかり気持ちを込めて歌います。
例えば、山下達郎さんや小田和正さんの歌を聞いて頂ければ分かりますが、一言一言をとても大切に、細かいところまで神経を研ぎ澄ませ歌っているのに気づくと思います。
「神は細部に宿る」をもじって「良い歌は細部に宿る」ではありませんが、
素晴らしい歌は、細かいことの積み重ねでできています。
歌が上手い人とそうでない人の差は、こんなところから生まれます。
但し、勘違いして頂きたくないのは、細部にわたって丁寧に歌うと言っても合わせにいってはいけません。
「音程を合わせに行くと弊害もある」でも書きましたが、音符通りに正確に歌おうとして慎重になりすぎると、「こぢんまりとした堅苦しい歌」になり、歌のダイナミックスさが欠けてしまいます。聞いている立場からすると、これではニュアンスのない面白味のない歌に感じてしまいます。
気持を込めて大胆に、そして繊細に歌うことが大切です。さらっと流して歌わない、1音1音に気を抜かずに、気持をのせて歌うことです。
「良い歌は細部に宿る = 歌は細かいことの積み重ねでできている」ということを、まずは頭においてみてください。その意識を持つだけで、あなたの歌は今までと変わってくるでしょう。